彩りモノクローム(EVENT)

 オールジャンルオープンマイクのイベント「彩りモノクローム」が10月24日、中目黒・ナカメアルカス前の広場で行われた。ハロウィーン前で華やぐ街をステージに、シンガー、楽器奏者、フリースタイルバスケやヒューマンビートボックスのアーティストら総勢11組が出演。土曜日の中目黒駅前を鮮やかに彩った



 アクトが老若男女の目に触れることが魅力の一つだ。

 多彩なステージの幕開けは午後1時過ぎ。青空の広がる中、都内を中心に活動する男性シンガソングライター・Akitoshi-KamberLandがトップバッターを務め、軽やかな声でアップナンバーやウェディングソングを歌い上げる。その姿を、幼い子を連れた友人夫妻がムービーに収めている。会場にはすでに、手押し車を押したおばあさんや散歩途中と思われるおじいさん、パラソルの下でくつろぐ親子連れなどの姿も見られた。隣接するマルシェで緑つややかな野菜や東北の地場産品、雑貨を眺めていた人々も音の鳴る方へ近づいてくる。山手通り沿いにあり通行量の多いこの日のような会場では、アクトがこうして老若男女の目に触れることが魅力の一つだ。



 ホン、キーボード弾き語りユニット「Fish」、いずれもギター弾き語りの「Manatsu」、「杉田慧」と続き、ウクレレ弾き語りの「Aiko Melolele」は気温が下がり始めた茜色の薄暮の中に南国の陽気と哀愁を吹き込んだ。



 この間に2度、保育士の大竹龍が歌遊びを披露。魔女や妖精などの仮装をした子供たちや、オレンジ色のジャック・オ・ランタンのお面を被った中目黒駅前保育園の園児十数人が手遊びに必死に合わせようとしたり伴奏に乗って身体を揺らしたりするかわいらしい姿が目立った。 



 ステージ後方では開幕後から、DADAが縦1・2メートル、横6メートルの “キャンバス” にライブペイント。黙々と筆を進める中、ステージ前方には5人組ダンスボーカルグループ「AMAZO NIGHT」が登場。キレキレのダンスと、エレクトロでメロディアスな楽曲で会場をしっかりエンターテインした。


 会場の一角では女性2人で活動する「すずのしっぽ」(http://suzunoshippo.blog.fc2.com/)が童話をモチーフにしたハンドメイドのブローチやポストカード、オリジナルキャラクターのステッカーなどの販売やプラ板のワークショップを実施。

 司会者が「AMAZO NIGHTと写真撮影をして、その写真をカンバッチにできますよ」と呼びかけると、黄色い声援が上がる一幕もあった。

 ステージではヒューマンビートボクサーの「孟」が “オン・ザ・セット” 。ビートボックスの指導もしているという赤鼻のピエロに扮した人間楽器が観客をステージに呼び、その場でパーカッションの説明を進めていく。続いてビートボクサー且つMCの「番長」を呼び込んでのback to back、その後ラッパーの「MC剣心」も加わってのフリースタイルセッションですっかり暗くなった会場をさらに黒く染めていく。



 2人組のフリースタイルバスケユニット「Stay on」と助っ人の通称 “葛飾のウォーリー” は、「DJ TAIJI UEMURA」のビートに乗せハンドリングテクニックを披露。ボールスピン状態の球を縦に2つ連ねる「二個のせ」などの大技を含め、確かなスキルで会場をロックした。観客はヒップホップやフリースタイルバスケといった、ストリート・カルチャーに対しても白い目を向けることなく純粋にアートを楽しんだ様子だった。



 極彩色の催しは見事にモノクロームに収斂していった。


 締めを飾ったのはギター・Takaaki Ohnishi、カホン・小久保里沙の楽器隊、イベント主催者の宇田川ガリバー哲男、藤嶋拓未、Aiko Meloleleの歌い手3人、そしてDADAによる、バンドとペインティングによるコラボレーション。マーヴィン・ゲイ「What's Going on」、スティービ・ワンダー「Isn't She Lovely」、ひと月はずれのアース・ウィンド&ファイア「September」のクラシック3曲でレイドバックした雰囲気を演出した。DADAの絵はハロウィーンをテーマに「カボチャが月になっていくイメージ」や「不気味な森のイメージ」などを現出させた一作となった。




 午後7時に終了。約6時間に及んだ極彩色の催しは見事にモノクロームに収斂していった。



 イベントを主催するNPO法人「日本アーティスト協会」の代表も務める宇田川ガリバー哲男は、「ファミリーや高齢層も無料でライブが見られる機会を提供したいと思い始めた企画。今回は特に好感触を得られ嬉しい」と1日を振り返る。



 オープンな場だからこそ、若者が憧れるようなステージを目指している。


 「彩りモノクローム」は毎月第3木曜に渋谷UNDER DEER LOUNGEで開催されている、今年6年目に突入した “老舗” イベント。来場者も飛び入り参加可能=オープンマイクが大きな特徴で、歌、ダンス、お笑い、大道芸などの多彩なコンテンツが溢れる空間を出演者、来場者の垣根を越え作り上げ続けている。「現役アーティスト主体のNPO法人はまだ珍しい」(宇田川)らしく、国内外の企業からも活動に関心を持たれているようだ。今回は24、25日にナカメアルカス前広場で開催された、東日本大震災の復興支援を契機に始まった出店市「中目黒村マルシェ」の一環として、9回目の出張開催となった。


 宇田川によると、「オープンな場だからこそ、若者が憧れるようなステージを目指している。そのためここでは、普段のオープンマイクとは一線を画し、ライブハウスやクラブなどで人気・実力ともに高いレベルのアーティストのみに出演を依頼している」という。「回を重ねるごとに “まち” 側の支援者も増えている。こうして理解を深め合っていくことが、いいアートや音楽シーンの礎になると信じている」

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<彩りモノクローム>
運営:日本アーティスト協会(http://jaa.strikingly.com/) 

協力/協賛・(株)クリエイティブステージ(https://www.creative-stage.co.jp/) 

中目黒村マルシェ


 

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