cafe TURQUOISE(世界のビールとジャークチキンのお店)

 「場所」とは一体どんなものであるべきなのだろうか。人間の数だけ正解はあるだろうから、答えは人が集まる雑踏の中にしか落っこちてないのかもしれない。2012年夏、西荻窪に1つの答えを出す「場」が生まれるかもしれない。Cafe TURQUOISEだ。

cafe TURQUOISE
【世界のビールとジャークチキンのお店】
「ターコイズ」は昼間から落ち着いた空間で世界各地のビールを楽しめるお店です。
様々な種類のビールをビールによく合う料理と一緒にお楽しみください!
特にオススメなのは15種類以上のスパイスとフルーツを独自にブレンドしたものに
24時間漬け込んでオーブンで一気に焼き上げた自慢のジャークチキン!!
ビールの相性はまさに「究極」の2文字です。


 モデルとしている店はない


 名前の由来パワーストーンターコイズとは、明るいエネルギーを持ち、ネガティブなエネルギーを払いのけ、困難を乗り越えて願望を達成するためのサポートをする石である。勇気と行動力をもたらし、はつらつとした積極性を与える。TURQUOISEは、この石のように力を与えられるようなお店を目指している。

 9月4日のオープンに向け、工事が進む17坪の現場。ここに生まれる空間はモデルとしている店はない。大学、高校の同級生や、先輩後輩関係で集まった氏家清志、重田喜則、本間寛章(akaジャクソン)、高島拓也、阿曽菜摘子の5人はそれぞれカフェやバーをやりたいと考えていた。Cafe TURQOUISEはそんな5人が、自分たちの思いを具現化しようとしている場だ。


「抜け道」


 5人の足並みが揃ったのは11年2月。それぞれが資金を集め、方向性を固め始めた。店内の塗装は自分たちで行う。彼らはDJでダンス経験者。設計の段階から重要項目としてDJブースを考えた。結果、バーカウンターと一体型となったDJブースが造られることとなる。お皿を出すか、お皿を回すかの違いである。 
 さらにはDJの入れ替わりの為に、このDJブースの下部には、「抜け道」と称される造作が施される。店の前から覗いた時、「抜け道」を行き来する人がいたら、何か面白いパーティーが行われている証拠である。
 

 どんなメニューが並ぶのだろう。料理長ジャクソンに聞くと、ライスボウル、パスタ、サンドなどのメインや酒のつまみなど「世界中の味を取り揃えて」くれるよう。なにより料理長自身が食べることが好きである。あれこれ言われるより、美味いものを食べることが好きな人が出す料理は間違いない。ぬるい夏の夜に半地下のテラスで、ジャークチキンとビールでチルする—。想像しただけで幸せな気分になる。



 彼ら5人が体いっぱいに楽しんでいる


 最近の社会の趨勢ではあるけれど、「コワーキング」とか「シェア」とか横文字ばかりを語る人が多すぎて食傷気味と感じてはいないだろうか。場所をシェアし、アイディアやスキルもシェアし、何かを生み出していく場所。よく聞く謳い文句である。あらかじめ場所側に頭で考えられた空間に出向いても、感じるものは何もない。蒸し暑い半地下で塗装をしている5人はそういった暑苦しい理想を語ることは一切なかった。

 美味しいご飯、ぶち上がるパーティーに最高の音楽、人間味の溢れるスタッフ、それらに魅了されて集まるお客さん達。どれもTURQUOISEの大事な要素である。空間は、受け売りの理想だとかコンセプトだとかよりも先に、もっとフィジカルなもので埋まるべきである。何より彼ら5人が体いっぱいに楽しんでいる。

 そうして埋まった空間は、訪れた人達に力強い何かを感じさせるはずだ。17坪のこの空間には、大切な一歩を踏み出す種が、あちこちに散りばめられている。

 パワーストーンのような力


 冠についてはいるものの、ここはカフェとかバーといった既存のカテゴリーに当てはまらなそうだ。5人が楽しめる「場」としか表記できない気がする。5人は有機的に空間をつくっている。化学製品を使わないのが有機栽培なら、暑苦しいだけなムダなものがないのが有機的な場所だ。

 そうしてこそありのままの個々の素材の味が出始め、パワーストーンのような力が宿る。行ってみればわかるはずだ。

 代表・氏家清志は「客同士、客と店員のコミュニケーション」を大事にしたいと話す。高島拓也は「ここにくれば、日頃の嫌なことを忘れられるというか。たまり場になれば」と。とにかく、TURQUOISEから僕たちへのインビテーションはもう届いている。「一緒に遊びましょ」だってさ。




 

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